熱処理加工技術

日高工業では、熱処理を行う部品の用途や特性に合わせ、硬度強化、耐金属疲労強化、耐摩耗性、耐食性と部品の特性を向上させると共に、長年の経験とノウハウを駆使し、お客様へ高品質な製品を提供し続けています。特に薄板品の熱処理に対しても、材質や形状の特性に応じた「最適な熱処理条件」を選定することにより、歪みやねじれなど熱変形を抑えた製品の提供が可能です。

熱処理の概要

熱処理とは

熱処理技術1

鋼を変態点(約730℃)以上の適当な温度に「赤めて(加熱)」「冷やす」ことにより、鋼の組織を変化させて機械的性質を向上させること。強さ、硬さ、粘り、耐衝撃性、耐摩耗性、耐食性、被削性などの向上が図れます。

一般的な熱処理の工程(バッチ炉)

冶具セット

バッチ内の均一な品質保持の確保

前洗浄

プレスおよび切削油の除去

焼入れ

焼入れ硬さ&浸炭深さの確保

後洗浄

焼入れ油の除去

焼戻し

硬度の調整

検査

製品の合否判定

日高工業の熱処理加工

❶ 焼入れ焼戻し

熱処理技術2

【目的】
強度・靭性の強化と調整

【加工方法・特徴】
焼炭素鋼や合金鋼を850℃前後まで加熱後、水中または油中にて急速に冷却することにより、組織を変化させます。また焼戻しとは、焼入れを行った後の工程にあたり、550~650℃に再加熱します。「焼入れ」と「焼戻し」をセットで行うことにより、強度の向上だけではなく、粘りや靭性を高め、金属を割れにくい状態にすることが可能です。

❷ 浸炭焼入れ焼戻し&浸炭窒化焼入れ焼戻し

熱処理技術3

【目的】
耐摩耗性、耐疲労性、耐衝撃性の向上

【加工方法・特徴】
浸炭焼入れ焼戻しとは、鋼に対して表面に炭素を拡散浸透させる処理を行い、金属の表面硬度向上させ、対摩耗性の向上を図る熱処理です。表面は耐摩耗性に優れ、深部はもともとの靭性を保つことができるのも特徴のひとつです。浸炭窒化焼入れ焼戻しとは、炭素と窒素を同時に拡散浸透させる処理を行い、浸炭だけでは硬化しない材料に対しても硬さを入れることのできる熱処理です。浸炭処理と同様に、耐摩耗性、耐疲労性の向上に効果的です。

❸ ガス軟窒化

熱処理技術4

【目的】
耐摩耗性、耐食性の向上

【加工方法・特徴】
ガス軟窒化とは、炉内を雰囲気ガスとアンモニアで満たし、窒素と炭素を浸透させ、製品表面に高硬度の化合物層を生成する熱処理です。他の熱処理方法と比較して、低温で処理をするため歪みや寸法変化を小さくすることが可能です。鉄と窒素の化合物が表面を覆うため、耐食性の向上等が望めます。

❹ 真空熱処理

熱処理技術5

【目的】
製品表面の光輝性・清浄性

【加工方法・特徴】
真空熱処理とは、炉内を真空状態にし、製品の加熱、冷却を行う熱処理です。大気中で熱処理を行わないため、酸化や脱炭を起こさず、光輝性のある仕上がりになるのが特徴です。

❺ プレステンパ

熱処理技術6

【目的】
曲がり直し、整形

【加工方法・特徴】
プレステンパ熱処理とは、焼戻しをする際に、製品を治具に固定し圧力を加えながら行う方法です。焼入れの歪みを除去(曲がり直し、整形)しながら、任意の硬さに調整できることも特徴のひとつです。

長年の経験とノウハウを生かした独自の熱処理技術

最適な条件の選定
歪み、熱変形を抑えた熱処理

熱処理の技術ノウハウを蓄積してきたからこそ、材質、形状、熱処理温度、冷却温度など、様々な条件を最適に組み合わせることができます。製品の用途や特性に合わせた最適なご提案をいたします。また最適な熱処理条件の選定で、製品の形状や材料特有の歪みやねじれ、縮みを抑えた高品質な製品をお客様へご提供します。

熱処理技術7

機械的性質と硬さの関係

硬くなると強度は増しますが、硬くなりすぎると逆に脆くなり強度が低下します。
このため、焼入れ後の焼戻し条件が重要になります。
日高工業では、お客様の目的に合わせ、最適な条件下での熱処理を行っています。

引張強度
疲労強度
衝撃値
摩耗量
スムーススクロール